借入金を返済したときは経費にできる?利益ばかりに捉われると危険な理由

借入金を返済したときに、返済に使ったお金は経費として計上できると勘違いしていることがあるようです。
確かに手元からお金が出て行くことにかわりはありませんが、借入金の返済については経費として計上できません。
借入金返済の元金と利息の会計上の扱い
会計処理上において、お金を借りたときには「負債」が増加することになります。「収益」が発生することにはならないので、借入金を返済したときには負債が減少するだけとなり、経費として計上できません。
しかし、借入金に対する利息を支払ったときには、「費用」が発生することになりますので経費として計上できます。利息はお金を貸すというサービスの対価であることが理由です。
借入金の元本部分の返済は負債が減少するだけ、利息部分の支払いは経費になると理解しておきましょう。
利益よりも大切なのはお金の流れ
借入金の元本部分を返済しても経費になりませんので利益には影響しないことになります。しかし、手元のお金は出ていくことになりますので、お金の流れには影響する点に注意してください。
帳簿上では利益が出ているのに手元には現金が少ないということも起きるかもしれません。
資金繰りを行う段階で、利益と実際の現金にズレが生じていることを把握できていなければ、気がついたときに黒字倒産してしまうことも考えられます。
黒字倒産とは?
倒産してしまうことを黒字倒産といいます。
収入が支出を上回っている状態を黒字といい、反対に支出が収入を上回っていれば赤字といいます。
黒字倒産の場合の黒字とは、会計上は利益が出ている状態です。借入金など債務の支払いを行う必要があるけれど、帳簿上は利益が出ていて黒字なのに手元にお金がなく、支払いができなくなって活動を継続できず倒産してしまうことを黒字倒産といいます。
・なぜ黒字倒産が起こる?
黒字倒産が起こる理由として、実際の現金が出入りするタイミングと会計上の利益を計上するタイミングにズレが生じていることが挙げられます。
このズレが原因で、会計上は利益が出ているのに手元に現金がない状態に陥ります。
そのため、会計上の利益だけでなく、手元に現金はどのくらいあるのか、実際の現金の流れにも注意しておくことが大切です。
実際の現金の流れを把握しておくこと
利益よりも現金の管理はおろそかになりがちです。しかし、利益よりも支払いの原資となる現金が手元になければ、たちまち経営を続けることは困難な状況に陥りますので十分注意するようにしてください。