定期借家契約を結ぶ時には必ず事前に文書で説明することが必要!

従来の普通借家契約においては、貸主に正当な事由がなければ借主の更新を拒絶することはできず、解約して物件を売却したいと思っても叶わなくなります。普通借家契約の賃貸借契約書に、更新しない旨の特約を附帯しても無効とされるなど、借主が保護されている状況です。
しかし、定期借家契約を結ぶことで、期間が満了した時には借家関係が終了することを確定させることが可能です。
ただ、貸主と借主とが口頭で定期借家契約における契約を結ぶことを決めたとしても、後にトラブルになる可能性があります。
そのため、必ず書面により契約を締結し、期間が満了することで賃貸借契約が終了する旨の事前説明が必要とされています。
定期借家契約は書面での契約が必須
定期借家契約は、必ず書面で契約を結ぶことが必要とされています。書面ではなく口頭で契約を締結しても定期借家契約と認められず、普通借家契約での契約締結とされる点に注意しましょう。なお、借地借家法では「公正証書」による契約締結が例示されていますが、必ずしも公正証書でなくても書面による定期賃貸借契約であれば問題ありません。
書面の形式なども規制はありませんので、契約の更新がない定期借家契約での賃貸借であることを明確に定めておくようにしましょう。
契約締結の前に事前説明義務をはたすことも必要
書面による定期借家契約を締結する前に、貸主から書面の交付により契約更新がないこと、さらに期間が満了することで賃貸借は終了することを事前に説明することも必要とされています。もし事前説明義務に違反すれば、この場合も定期借家契約を締結したとは認められなくなり、普通借家契約を締結したことになりますので必ず行ってください。
□事前説明に使用する説明書に記載する内容
貸主が書面を交付して事前説明義務を果たす場合、必要な記載事項は、
①契約の更新がないこと
②期間が満了することで賃貸借が終了することが確定していること
③契約の対象となる物件
④契約期間
⑤日付
⑥貸主の氏名
⑦代理人が行う場合は氏名等
などです。これらの項目を記載した書面を交付し、事前に口頭で説明を行います。
ポイントとなるのは、定期借家契約を締結する以前に予め行うことが必要であるという部分で、説明を行う際に交付する説明書の日付は、定期借家契約を締結する日より前であることが必要です。
不動産会社に仲介を委託する場合
宅地建物取引業者など、不動産会社が契約の代理や仲介を行う場合には、借主に対して重要事項説明書を交付して説明することが義務付けられています。
貸主が契約締結に同席せず、不動産会社に定期借家契約である事前説明を行うことを委託するケースもあるでしょう。
その場合も、重要事項説明書と一本化してしまわずに、定期借家契約であることを説明する説明書を別途作成してもらう様にする事が望ましいといえます。