定期借家でも契約を更新することはできる?

定期借家契約は、契約期間が満了を迎えると同時にその契約は終了するという賃貸借契約です。
1年間と決めていれば1年間、20年間なら20年間という事前に定めていた期間内で、物件の貸借ができる契約ですが、仮に1年間で契約している場合において、借主が延長して住むことを希望するときには契約を更新することはできるのでしょうか。
定期借家契約とは?
定期借家契約は、たとえば1年間後には家主が転勤先の海外から帰国するのでその間だけという場合や、3年後には家を建て替える予定なのでその期間のみなど、一定期間だけ物件を他人に貸したいというときに使われる契約形態なので、その事前に定められた期間を超えて住むことは一切できないと思うかもしれません。
ただし、定期借家契約でも再契約型であれば、一般的な普通借家契約のように契約を更新して住み続けることと代わりなく再契約ができます。
□再契約のときの敷金や原状回復義務の扱い
再契約のときにまた敷金がかかるのでは?と思うかもしれませんが、確かに再契約は更新するわけではありませんので、一旦は敷金を返還してもらい、再度また預けることになりますが、実務上はそのままということになるでしょう。
原状回復義務についても再契約後も引継がれ、再契約の賃貸借が終了する日までに行うことになります。再契約前に原状回復しなければならないということはありません。
貸主が再契約に応じなければ?
普通借家契約は、法定更新で原則的に契約が更新されることになります。しかし定期借家契約であれば更新がないことが有効に適用されることになるでしょう。
再契約型であれば、期間満了時に貸主と借主が再度契約を調印し直せば、結果的に借主は延長して住み続けることはできます。
しかし、これまでの契約がそのまま継続するのではなく、また新しく契約を結び直すことになるので、更新ではなく再契約という扱いです。
仮に、貸主が再契約に応じなければ、契約は締結できませんので借主は住み続けることはできなくなり、契約は終了により物件を明け渡す義務を負うことになります。
契約内容やマナーを守ることは借主の義務と考えること
定期借家契約は一定期間で契約が終了する性質の契約形態ですので、契約内容やマナーを守ることができない人が長期間、同じ住宅に居座ることを許さない契約です。例え再契約型であっても、契約違反をする人とまた契約を結びたいという貸主はいないでしょう。
トラブルを起こす入居者は退去しなければいけなくなりますので、普通借家契約とは異なった契約形態であることを十分理解した上で契約を結ぶようにしてください。
いずれにしても、賃貸借契約を結んで部屋や家を借りるときには、契約内容やマナーを守ることが当たり前です。再契約型の定期借家契約を結んでいて、再契約を希望することを家主に申し出たとき、快諾してもらえるような入居生活を送るように心がけましょう。