夫の相続で妻と子供が相続人の場合は遺産をどのように分けるべきか

もし夫が亡くなり相続が発生し、残された遺産を妻と子供で分けようという場合には、どのような分け方がベストなのでしょう。
相続人が残された配偶者と子供というパターンは最も多いですが、その分、分け方で悩むことも多いようです。
民法では誰がどのくらいの割合で遺産を相続するか決まっている?
民法900条では、相続人の法定相続分について規定がされており、配偶者と子供が相続人となる場合には、それぞれ2分の1ずつとなっています。
もし夫が亡くなり、妻と子供2人が相続人の場合には、妻が2分の1、残りの2分の1を子供2人で分けるのでそれぞれ4分の1ずつ相続します。
ただ、子供が成人して独立している場合には、単に法定相続分に従うのではなく、もっとも大切なのは遺された妻の老後の生活設計と考えましょう。
法定相続分は遺産分割協議において参考にする目安であり、その通りに分けなければならないわけではないのです。
妻は遺族年金の受給が可能
夫が会社員だった場合、妻は遺族厚生年金を受け取ることができますし、妻自身の老齢厚生年金と夫の遺族厚生年金の受給資格が発生します。
平成19年4月からは、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある方については、老齢厚生年金は全額支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金相当額の支給停止となっています。
遺族厚生年金の金額は、夫の老齢厚生年金額の4分の3、または夫の老齢厚生年金額の2分の1と妻自身の老齢厚生年金の2分の1のうち、どちらか多い金額が支給されることになります。
そのため妻が年金を受給していて他に収入がなかったとしても、まったくの無収入になるわけではないのでその点も踏まえた上で遺産をどのように分けるか考えることが必要です。
残された妻の老後の生活を優先して考えた方がよい
そもそも残された配偶者には、相続税がかからないようにするための配偶者控除など、その後の生活に支障をきたさないよう配慮される措置が設定されています。
夫の遺産は妻の貢献があってこそという部分も大きいので、まずは妻の老後の生活設計を第一に考えた上で、必要な範囲で相続税対策を行い、妻と子供で分ける形にすれば問題ないでしょう。
もし特定の相続人に多く財産を引き継いでほしいという場合には、遺言書などを作成しておくことが必要です。遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、話し合いによってどのように遺産を分けるのか決まることになりますが、その割合は法定相続分通りにならないこともあると理解しておきましょう。