定期借家契約でアパート経営する場合の空室対策

契約で事前に定めた期間が満了すると、その後、更新されずに契約は終了する定期借家契約という方法は、貸主がセカンドハウスや別荘で使用していない期間のみ貸し出すことなどに有効です。
もちろん、アパート経営においても、トラブルを起こす入居者について、契約期限が過ぎれば退去してもらうことができますので、問題のある入居者が長く居座り続けることを防ぐこともできます。
ただし、定期借家契約では継続して住み続けることができないと考え、なかなか借り手がつきにくい場合もあるようです。
アパート経営において定期借家契約を用いる場合には、空室対策を事前に検討しておく必要があるでしょう。
具体的にどのような空室対策を行う?
入居者が引き続いてアパートに住みたいと思っても、定期借家契約であれば契約期間が満了を迎えると退去しなければなりません。
貸主と借主の双方が合意すれば、更新ではなく再契約という形で引き続き住むことはできても、合意を得られるかわからないという不安があることで借り手がつきにくくなる可能性はあります。
そのため、空室対策のためには家賃を相場よりも低めに設定したり、礼金を不要にするといった方法が考えられるでしょう。
似たアパートが周囲にあっても、毎月支払う家賃が安ければその分、敷金も下がります。また、礼金がいらないとなれば、初期費用を抑えることができるので借りる側にもメリットが生まれるからです。
ニーズの高いエリアにアパートを建てる
また、一時的にアパートを借りたいというニーズの高いエリアにアパートを建てるという方法もあります。
例えば、実家を離れて一人暮らしを希望する学生や、単身赴任のサラリーマンなどが多く集まるエリアなら、一時的に一人暮らしをすることになるので長く住み続けることを好まない可能性があります。
また、1年未満でも定期借家契約を結ぶことはできますので、マイホームの建て替えなどの間、アパートを借りたいという方もいるかもしれません。
様々な物件が流通していますが、圧倒的に定期借家の割合は少ないので、ニーズに合えば空室を出さずに入居者を継続して獲得し続けることができるでしょう。
定期借家契約を結ぶ時の注意点
定期借家制度では、契約時に貸主と借主の間で一定の期間を定めておく必要があります。その期間は、10年以上という長期でも、反対に1年未満の短期でも互いが合意することで自由に決めることができます。
契約締結時に一定の期間を定めておかなければ、定期借家契約とは認められませんので、普通借家契約として契約したとみなされます。そうなると、貸主に正当な事由がなければ、更新を希望する入居者に応えなければならなくなるのです。
なお、定期借家契約だとしても、床面積200㎡未満の居住用建物であれば、借主側に転勤などやむを得ない事情ができた時、1か月前予告による途中解約の阻止や、残期間の賃料請求などはできませんので、その点も理解しておきましょう。