アパート経営における地震や火災などの災害リスク

アパートを経営するにおいて、防災と減災について考えておく必要があります。特に大地震が発生した場合、入居者や通行人に被害が及べばオーナーに対する責任が問われることになるのでしょうか。
オーナーが責任を問われるケースとは?
一般的には地震など大災害が発生し、それによって建物が倒壊してもオーナーが責任を負う必要はありません。しかし建物の管理が不十分であることが原因と判断された場合には、オーナーは管理責任を問われるケースもありますので注意しましょう。
特に老朽化の進んだ木造のアパートなどは地震で被災しやすい上に、耐震基準を満たしていないケースもあります。
耐震基準を満たしていても安全とは言い切れない
実際には、阪神・淡路大震災で倒壊した建物の10%は新耐震基準を満たした建物でした。
耐震基準を満たしていたとしても築年数が経過することで劣化することを肝に銘じておく必要があります。
さらに賃貸住宅が構造強度を保てていなかったことでオーナーが責任を負う形となり、損害賠償の一部を支払うように命じられた判例もありますので注意が必要です。
適切なアパートの維持・管理が必要
アパートの防災対策に耐震性を満たすことは必須ですが、築年数が経過している建物の場合には耐震診断を受けることを検討しましょう。
さらに建物だけでなくブロック塀といった外構物や外階段なども管理が不十分な場合にはオーナーが責任を負うことになります。施設の安全性を維持・管理することは重要なことであり、それらに不備があることで入居者がケガを負うことになればオーナーが責任を問われます。
なお、これらを補償する保険に「施設賠償責任保険」などがありますが、地震による損害は免責になっていますので補償されないことも理解しておくことが必要です。
今後の地震発生予測は?
最新の地震予測「全国地震予測地図2017年版」の海溝型地震が発生する確率を見た場合、今後30年間で南海トラフの地震が発生する確率が71%、50年間では91%となっています。
さらに建物が倒壊し始めるとされる震度6弱以上の地震確率は千葉、横浜、水戸市役所がいずれも8割を超え、関東、東海から近畿、四国にかけて太平洋側が引き続くと想定されているようです。
保険で備えておくことも必要
日本各地で大地震の可能性があるため、アパート経営における災害対策として確認しておく必要があるのが地震保険だと言えるでしょう。
なお、2017年1月から地震保険の保険料は値上げされており、損害区分の細分化などでこれまでの全損・半損・一部損の3区分が全損・大半損・小半損・一部損の4区分に改定されています。
日本は地震大国であるという再認識を
ここ最近は数年という短いサイクルによって日本各地で大震災が発生しており、いつどこで発生してもおかしくないと認識されつつあります。アパートの防災と減災に対して対応できるように、保険も含めて事前に検討しておくことが必要だと言えるでしょう。