相続した家は長期所有していた場合のほうが譲渡所得税を抑えることが可能

もし相続で親が住んでいた家を引き継いだものの、売却したいというケースはけっして少なくありません。ただ気になるのは、その時に税金はどのくらい課税されるのかということです。
その家が長期に渡り所有されていたのか、相続人がその家に居住していたかなどでも譲渡所得に対する所得税などは異なってきます。
親の家に子が住んでいた場合の控除
もし親が亡くなり、子が親の家を相続して、自宅として居住していたのなら居住用財産とみなされることになります。そのため、譲渡する際には、
・3000万円の特別控除の特例
・(10年超所有の場合)軽減税率の特例
・特定の居住用財産の買換え特例
・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
・(マイホームの買換えの場合)譲渡損失の繰越控除
などの控除の対象となる可能性があります。
家を相続した子がその家に住んでいなかった場合には、これらの特例は適用されません。
住宅の所有期間は親が取得した日からカウントする
譲渡所得に対する課税は、家の所有期間が5年以内なら短期譲渡となり、5年超なら長期譲渡としてそれぞれの税率が適用されることになります。
相続した家の取得の時期については、子が相続した日からカウントするのではなく、親がその家を取得した時期をそのまま引き継ぐことが可能です。
そのため、親が住宅を取得した日から、その家を売却した年の1月1日時点での所有期間で、長期譲渡なのかそれとも短期譲渡か判断するようにしましょう。
支払った相続税は取得費に加算できる
親から相続した家を売った場合、相続した時には相続税も負担しているのに、今度は譲渡にかかる税金まで納めるのか…と思うかもしれません。
ただ、納めた相続税の一定額は、所得税を計算する際の取得費に加算できることもあります。
譲渡所得は、
売却価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税譲渡所得
という計算式で算出しますので、取得費が増えれば課税対象となる譲渡所得は小さくなり、結果として譲渡により納める税金を抑えることが可能となります。
ただし、相続などで財産を取得した方が申告を行い、その方に相続税が課税されていること、さらにその財産を相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却していることが必要です。
長期譲渡所得と短期譲渡所得に適用される税率
不動産の所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年を超えれば長期譲渡所得となりますが、それぞれの所得税・住民税の税率は次のとおりです。
・短期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で所有期間5年以下)
所得税30.63%+住民税9%=39.63%
・長期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で所有期間5年超)
所得税15.315%+住民税5%=20.315%
また、それぞれ2037年までは復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が追加で課されます。