相続が発生した時の建物や設備などの減価償却期間の考え方

事業で使用していた資産などを相続により取得したとしましょう。資産として挙げられるものには、建物や設備、機械、備品など色々ありますが、それら取得した資産の減価償却費は、資産を相続した方の所得税を計算する際に必要経費として計上されることになります。

ただこの場合、実務上、どのように計算されることになるのでしょう。

相続で引き継がれる減価償却の項目

相続人が亡くなった方から資産を相続した場合、引き継いだ資産の取得価額や耐用年数、経過年数、未償却残高も引き継ぐこととなり、減価償却費を計算します。

相続で取得したから中古としての使用可能期間に基づいた耐用年数になるわけではありませんので注意してください。

ただ、相続で上記の項目は引き継がれますが、償却方法は引き継がれません。もし亡くなった方が定率法を選んでいた場合、相続人が減価償却資産の償却方法の届出を提出していなければ法定償却方法の定額法で計算することになります。

減価償却費の計算で注意したいこと

相続が発生した日が月の途中の場合、亡くなった方と相続人の減価償却費の金額は日割り計算にするのでしょうか。

本来、減価償却費は1か月未満の端数が発生した場合は1か月として計算するという取り決めがありますので、仮に相続が発生したのが5月だった場合には、1月から5月までが亡くなった方の減価償却費、5月から12月までの8か月分が相続人の減価償却費となり、全部で減価償却費は13か月分発生することになります。

準確定申告と確定申告、それぞれの期間は?

また、相続が月の途中で発生した場合の亡くなった方の準確定申告と相続人の確定申告は、所得計算上問題がないのなら前月末で区切るとよいでしょう。

例えば5月7日に相続が発生したのなら、1月1日から4月30日までを亡くなった方の準確定申告、5月1日から12月31日までを相続人の確定申告の期間として考えます。

所得や経費は合理的に按分し、相続開始日までの分を準確定申告するようにすれば問題ありません。

この経費部分で登場するのが減価償却費ですが、5月7日で亡くなり相続が発生したのなら、準確定申告での減価償却は1~5月の5か月、相続人の確定申告の減価償却は5~12月の8か月分という形になります。

確定申告の期間は1か月増えるわけではないのに、減価償却の期間は13か月分になることで何かすっきりしないかもしれませんが、税務計算上のルールとなっていますので間違わないようにしてください。

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