相続法が改正されたことでどのような制度が創設された?

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人が亡くなり相続が発生した時、その方の財産を誰が承継することになるのかについては、民法の中に基本的ルールである相続法として定められています。

これまで相続法は1980年に見直し・改正がされてから、大きな変更はありませんでした。しかし2018年7 月には、相続法の見直しを行う内容が成立し、すでに段階的に施行されています。

そこで、今後相続に関する制度はどのように変わるのか、その内容をご説明します。

相続法の見直しで変わった部分とは?

これまで相続法の大きな見直しはされていませんでしたが、日本は現在、少子高齢化が進むなど1980年当時とは社会的にも経済的にも変化しています。その変化に対応した法律であることが望ましいとされることで、今回、相続法のルールが変わったといえるでしょう。

まず、相続が発生したことで残された方の配偶者が生活に困ることのないように、配慮などの観点から次のような改正が行われました。

配偶者居住権の創設

相続が発生した時に、亡くなった方が所有する家に配偶者が住んでいた場合には、遺産分割において配偶者居住権を配偶者が取得することによって、一定期間、または終身的に、無償で住み続けることが可能となるという権利です。

この制度は2020年4月1日から施行されます。

夫婦の間での家を贈与することに対する優遇措置

夫婦の婚姻期間が20年以上という場合、夫婦の間で家やその敷地を遺贈、または贈与された場合は、原則、遺産分割で配偶者の取り分が増えます。

この制度は2019年7月1日から施行されています。

自筆証書遺言の方式が緩和された

また、残された配偶者への配慮だけでなく、相続をめぐって起きる紛争を防ぐためにも、遺言の利用を促進するための改正がなされています。

これまで自筆証書遺言は、財産目録もすべて手書きで作成することが必要でした。しかし今回の改正により財産目録については、各ページに署名・押印しておけば、パソコンなどを使って入力しプリントアウトする形での作成が可能となりました。

この制度は2019年1月13日から施行されています。

法務局での自筆証書遺言の保管制度の創設

今後は自筆証書遺言を作成した場合でも、法務局に保管してもらうように申請することが可能です。

この制度は2020年7月10日から施行されます。

預貯金の払戻し制度の創設

亡くなった方の預貯金も遺産分割の対象である場合、預金が引き出すことができず生活費に困ったり、葬儀費用が払えないという問題も起きていました。

しかし、新たな制度が創設されたことで、遺産分割が完了する前でも、一定範囲で預貯金の払戻しを受けることが可能となりました。

この制度は2019年7月1日から施行されています。

遺留分制度に対する見直し

遺言書などで財産を承継する方が限定されている時、本来相続できたはずの財産を受け取れなくなってしまう相続人が出てきます。

しかし、最低限財産を相続できる遺留分という権利がありますので、この遺留分を侵害された方は遺言書などで遺贈や贈与を受けた方に対して、遺留分侵害額に相当する金額の正規有が可能です。

この制度は2019年7月1日から施行されています。

特別の寄与の制度の創設

例えば義理の親が亡くなるまで献身的に介護などを行ったとしても、直系尊属でないため相続権はありません。しかし、このように相続人以外の親族などが無償で亡くなった方の療養・看護などを行ったことで、結果として亡くなった方の財産の維持や増加に貢献したと判断されるは、相続人に対して寄与分を請求することができます。

この制度は2019年7月1日から施行されています。

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