相続手続きで必要となる相続合意書はいつ役立つ書類?

ある遺産の名義を変更する際には、相続人の合意が必要です。それを証明する書類が「相続同意書」ですが、どのような書類なのかその内容を確認しておきましょう。

亡くなった方名義の預金からお金を引き出したい時

人が亡くなり相続が発生した時、相続人のうち誰がどの遺産を受け取るのか遺産分割協議で取り決めを行います。

ただ、亡くなった方名義の預金から葬儀費用などを引き出したい場合、まだ遺産分割協議が完了しておらず、所定の手続きを行うことができないというケースもあるでしょう。

そのような場合、相続人が合意していることを証明する「相続同意書」を用いて手続きを行います。

手続きを行う機関で指定された書式などが準備されていることがほとんどですので、書類に相続人全員が記名、押印して提出し、手続きを進めて行く流れです。

遺産分割協議が完了していなくても引き出しが可能に

口座の名義の方が亡くなったことを知った金融機関は、その口座から勝手に預金が引き出されることのないよう、口座を一旦凍結します。相続人のいずれかが不正に相続財産を受け取ろうとすることを防いでおかなければ、後々トラブルに繋がるからです。

口座の凍結は、すべての相続人が遺産分割協議に参加して話し合いを行い、誰がどの財産をどの割合で引き継ぐのか決定されるまで解除されません。そのため、凍結された口座を解除する手続きには、遺産分割協議書の提出が必要となります。

ただ、残された遺族の生活資金や葬儀費用など、最低限必要な資金が預金に含まれている場合、相続人全員の合意のもとで引き出しに応じることがあるわけです。

その他、相続同意書が必要になる相続手続き

相続同意書は他にも、亡くなった方が許認可事業を営んでいた場合で、その後、相続人が引き継ぐ場合、さらに自動車や船舶の名義を変更する場合などでも用いられます。

許認可事業の相続において、相続同意書が必要となるのは、飲食店や食品製造・販売業など食品営業許可が必要な業種や、クリーニング、理容所・美容所などが該当します。

相続同意書と遺産分割協議書は何が違う?

亡くなった方のすべての遺産について、誰がどの財産を受け継ぐのかを取り決めた書類が遺産分割協議書であるのに対し、相続同意書は預金や自動車など一定の財産に対して誰が受け継ぐのかを記載した書類です。

相続同意書があれば遺産分割協議書は必要ない?

遺産のそれぞれに対し相続同意書を作成すれば、遺産分割協議書を作成しなくてもよいのではないかと思うかもしれませんが、提出先ごとに相続同意書を作成するのは手間がかかります。

その上相続同意書は、遺産分割協議書よりも簡便な様式が用いられており、不動産の名義を相続人に変更する相続登記では使用することはできません。

預金の引き出しなど急を要するケースでは相続同意書が必要ですが、できるだけ早く遺産分割協議を行い、すべての遺産を包括して誰が受け継ぐのか証明できる遺産分割協議書を作成することが望ましいといえるでしょう。

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