相続税対策で活用される養子縁組は本当に有効な手法なのか?


相続税の節税対策などで、直接自分とは血縁関係にないけれど、自分の子どもとする養子縁組を行いたいという方もいるようです。

ただ、養子にして子どもの数を増やすことには、様々な問題が発生する場合もありますので、内容をよく理解しておく必要があります。

そこで、養子縁組をした子との相続における問題についてご説明します。

養子縁組にも種類がある

相続税の節税対策として養子縁組が活用される場面もあるようですが、有効な養子縁組とは当事者同士の縁組意思が必要です。単に相続税の節税目的での養子縁組は、法的正当性が争われるといったケースもあるため注意が必要といえます。

また、養子縁組にも「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類がありますので、基礎知識としてご紹介します。

■普通養子

一般的な養子縁組と呼ばれているのは、「普通養子縁組」のことです。当事者同士の同意で戸籍の届出を行い、親子関係を創設しますが、元の親子関係が終了するわけではありません。

■特別養子縁組

普通養子より条件が厳しくなるのが「特別養子縁組」で、実父母、およびその血族との親族関係は終了させることとなり、養親の嫡出子として法律上の血縁関係を創設する制度です。

戸籍法に基づく届出を行う必要はなく、家庭裁判所の審判を経て許可を得ることが必要で、審判を請求した後の一定期間、養親が養子を監護した実績をもち縁組は成立します。

養子縁組が税金対策に繋がる部分

養子縁組で子どもの人数が増えることは相続人を増やすことになります。そうなると、相続税の基礎控除や、生命保険や死亡退職金の非課税枠を増額させることができます。

また、孫以外の相続人以外の人を養子にすることで、遺贈より税率を低く抑えて財産を渡すことも可能です。

しかし、孫を養子にした場合には孫が納税する相続税は2割程度高くなってしまうこと、さらに相続税の基礎控除や生命保険・退職金の非課税枠を算出する際に認められる養子の数には制限が設けられていることで、必ず節税対策に繋がるとは言い切れないことを理解しておく必要もあります。

■法定相続人に含めることができる養子の数

相続税法上、法定相続人の数によって控除の金額は変わりますが、法定相続人数として含めることができる養子の数は、実子がいる時は1人、実子がいない時は2人までという制限が設けられていることを知っておきましょう。

養子の相続権で制限を受ける部分とは?

養子の相続権のうち制限を受ける可能性が考えられるのは「代襲相続」です。

例えば養子縁組前に出生していた養子の子については、養子を代襲相続して養子の養父母の相続に関わることはできません。代襲相続は、代襲相続人が被相続人の直系卑属であることが要件とされていますので、養子縁組を結ぶ前に出生していた養子の子は、養父母の直系卑属に該当しないからです。

仮に配偶者の連れ子と養子縁組を結んだとしても、養子を代襲相続人に含めることはできません。親より先に亡くなっていた場合など、代襲相続が発生する場合には連れ子を養子にしているかどうか、結論は変わらないことになります。そのため、自らの相続だけを考えた上で、養子縁組を結ぶ意味があるのか検討することになるでしょう。